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クラウドの衝撃 城田真琴 東洋経済







■紹介
クラウド、そしてその周りの情報をしっかりとまとめてくれている。
自分が持っていた情報を、整理し、頭に置くのにちょうど良い本。

全体的にビジネス側面から見たクラウドの話になっているので、
コードは?中の技術は?という人には、まったく意味をなさない一冊となる。
開発者向けというよりは、経営者や、営業向けの本だろう。
もちろん初めの一歩という意味では、ちょうどよい本であるとも思う。

■抜粋(○は簡略抜粋、→は私の意見)
○「クラウド・コンピューティング」という言葉は、
 グーぐるのCEOであるエリック・シュミット氏が2006年初めに
 英国「エコノミスト」の特別号The World in 2007に寄与した
 Don't bet against the internetというタイトルの記事の中で
 初めて提唱した言葉だ。(P.2)

○筆者なりのクラウドコンピュータの定義(P.14,15)
 拡張性に優れ、
 抽象化された巨大なITソリューションを、
 インターネットを通じてサービスとして提供(利用)するという
 コンピュータの形態

●グリッド・コンピューティング研究の第一人者である、
 米アルゴンヌ国立研究所兼シカゴ大学のイアン・フォスター氏は、
 以下の3つをグリッド・コンピューティングのチェックリストして挙げている。
 ・集中管理されていない分散したリソースのコーディネイト
 ・オープンスタンダードなプロトコルやインターフェースの利用
 ・単純には得られない質の高いサービスの提供(P.21)

●汎用のコンピュータを使っていれば、
 どんどん新しいコンピュータに入れ替えていくことができる。(P.51)
 →どこかのベンダーに依存することなく、
  そのため価格的にも安く入れ替えが可能になるだろう。

●グーグルのフェローのジェフ・ディーン氏の発言の一部(P.61,62)
 グーグルでは、1800台のサーバで構成される
 クラスタ・コンピュータを1単位としてシステムを運用している。
 このクラスタにおいては、1年目におおよそ1000台のマシンで故障が発生し、
 数千件のハードドライブの故障が起こる。
 1台の電力配分装置が故障すれば、
 500~1000台のマシンが6時間にわたって停止する。
 20台のラックが故障すれば、
 そのたびに40~80台のマシンがネットワークから消える。
 5台のラックが不安定になれば、ネットワーク・パケットの半数が欠落する。
 いったん、クラスの配線を変更すると、2日間にわたって、マシンの5%に影響が出る。
 クラスタがオーバーヒートする確率は50%、
 サーバのほとんどは5分足らずので停止し、復旧までに1、2日はかかる

○データセンター建設候補地の選定基準
 (6)税制上の優遇措置があること(P.74)
 →経済的に何もない市町村でも同様の方法をとることによって、
  簡単に需要を喚起するすることができる。
  その土地のメリット(地震が少ない、電源が豊富など)を生かせれば。

○アマゾンクラウドを用いた米ニューヨーク・タイムズの例(P.99)
 米ニューヨーク・タイムズではWebサイト上で、過去の新聞記事をアーカイブし、
 サイトを訪問した利用者がテキスト検索できるようになっている。
 このうち、1851年9月から1980年12月までの記事については
 PDFファイルの形式でアーカイブされている。
 同社ではこの約130年分の新聞記事をスキャンした
 1100万枚ものイメージファイルを、
 オンラインストレージ「アマゾンS3」に格納し、
 さらにPDFにする際に、仮想サーバ「アマゾンEC2」を利用した。
 総データ量は4TBを超えていたが、100インスタンスを越すサーバを起動し、
 24時間以下でPDFファイルに変換できた。
 仮に同じ作業を自社サーバで実行した場合、14年かかると見積もっていた。
 わずか1日で処理でき、コストはたったの240ドル。

○セールフォース・ドットコムの事例(P.108,109)
 全国に広がる郵便局員4万人が利用するシステムを2ヶ月で構築、リリース
 デルに勤務する全世界従業員向けのアプリケーションを構築し、
 エンタープライズ市場へ浸透

○マイクロソフトもデータセンターに収容されるサーバについて(P.118)
 グーグル同様、
 マザーボードの設計レベルから自社で独自にデザインするようになっている。

○「イノベーションのジレンマ」(クレイトン・クリステンセン著)の
 「破壊的技術」にピタリと当てはまる。
 「破壊的技術」の特徴は、「短期的には製品の性能を引き下げる効果をもつ」が
 「主流から外れた少数の、たいていは新しい顧客に評される特徴がある」、
 「通常は低価格、シンプル、小型で、使い勝手が良い場合が多い」だ。(P.225)

コメント

  1. ここにある、ニューヨークタイムズの事例の話は良く考えるととても変。

    ①そもそも100台のインスタンスで一日で終わったのなら1台のマシンで100日あれば終わったということでしょ?何で14年もかかるわけ?
    ②240ドルというは 10セント/Small Instanceの1時間の使用料×24時間×100台 という単純な計算でしょ?S3のコストやデータの伝送のコストとか完全に無視してますよね。

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