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「伝わる」のルール 伊藤 直樹 インプレスジャパン












代表作として「Nike Cosplay」、「AkiBAMAN」を作成した伊藤直樹さんの著書。
大量の戦隊コスプレイヤーが秋葉原を疾走する、あれです。
なんとも言わせないおもしろさが含まれてる、あれです。

どうやって人の脳へと沁み込ませるか、
どうやって社会に波を起こすのか、
作品の紹介から手法が、またその考え方が書かれています。
人にインパクトを与え、社会の波へと変える。

伝えるではなく、「伝わる」。

タイトルから言い得て妙で、まさに伝わる本です。


以下抜粋(○:抜粋、●:省略抜粋)

○「Nike Cosplay」(P.14)
 「AkiBAMAN」(P.14)
 秋葉原ブームがピークを迎えていた当時、気になる投稿だったことは間違いがなく、
 実際”好きモノ”たちのあいだでかなり話題になった。
 ~中略~
 映像系の学生が”趣味的”に撮ったのか、
 それともプロがつくったのか。
 そこすら判断できかねるビミョーなクオリティに、映像を着地させていたのもハマった。(P.17)

○本来、「表現」と「仕組み」は切り離して考えることができない。
 たとえば、ぼくらが人に好意を伝えるのは、
 「笑顔」(表現)であり、それを生み出すものが顔の筋肉の動き(仕組み)だとすれば、
 顔の筋肉の動き(仕組み)だけを論じることには意味がない。(P.28)

○「REC YOU」(P.29)
 コッテリしているようでノッペリとした、
 どことなく無国籍で、そのクセ妙に感情豊かな表情。
 「キモい」のギリギリ一歩手前。
 あの”デジタルコーラス”はいちど見たら脳に沁みる。

○15秒や30秒で勝負するテレビCMでは、
 「おもしろい!」とか「なるほど!」といったロジックを、
 より説得力あるものにするタイプの表現が力を発揮しやすいのだが、
 見る側が自発的にその映像を選択できるウェブ広告の場合、
 人の生理に直接働きかける表現のほうが、
 ハマるケースが多いのではないかという気もする。(P.31)

○「Nike Cosplay」にせよ、「BIG SHADOW」にせよ、
 そのキャンペーンタイトルを聞くと、
 1枚のイメージ画が鮮やかに脳裏に浮かぶ。
 おそらく、企画の方向性が定まった段階で、
 メインビジュアルを設定しているのだろう。
 ~中略~
 言葉(コンセプト)と同時にビジュアルで、
 キャンペーンの方向性を示しておく必要性がある。 
 ~中略~
 それができているとフィニッシュの段階においても安心してディテールをつめることができる。
 そのほうがコミュニケーションがはやく、強度のあるキャンペーンになることはいうまでもない。(P.32)

○ビックリさせる仕掛けを、ひたすら連発すればいいというものないですからね。
 ずっと驚かせっぱなしだとお客さんが疲れちゃって、
 外に出たときにカタルシスを感じられないでしょう?(P.46)

○駅貼りのポスターをつくるときでも、
 そのポスターをただおもしろくしようとするのではなく、
 駅に来た人がそれをどういうふうに見て、
 どういうリアクションをするかという「導線」を意識した上で表現を考えているんです。
 ~中略~
 ユーザーの導き方をデザインしているという意味では、
 「空間導線」を設計しているといえるでしょう。
 ぼくの場合は、それを個々のメディアの表現だけでなく、
 メディアとメディアのあいだの「導線」としても考えたりしますね。(P.53)

○インサイトといってもいいかもしれないけれど、
 簡単にいえば、商品との関係のなかで受け手に共感をしてもらえるポイントを探すんです。(P.56)

●ビッグアイディアがシンプルになっていると、人の口の端に乗りやすくなるんです。
 「LOVE DISTANCE」なら、「遠距離恋愛中の男女ふたりを、出会うまで実際に走らせる」。
 「LOVE DISTANCE」を「男の側と女の側の両方から、走っている様子をウェブで中継するんです」とか
 「PCでは男の側とか女の側とか、片方の応援しかできないんです」なんて話しても伝わらない。(P.73-74)

○ぼくはけっこうな広告オタクで(P.85)

○「PIKAPIKA」をうまく自分なりに消化して、
 別の次元にまでもっていっている。
 ~中略~
 「正当進化」という言葉がありますけど、
 新しいアイディアの多くは過去をふまえて、
 進化させたところに生まれます。(P.111-112)

●「この企画は、どうやって世の中に広がっていくんだろう」という部分がイメージしづらいので、
 そこのプランを盛り込みたいところですね。
 ~中略~
 受けての行動のその先にまた別の「体験」が生まれますから、
 そこのところの流れや広がりも企画してほしいんです。(P.114-115)

○「はやらせるプラン」のなかでの位置づけをよく考えて、
 あらかじめイメージしておくところです。
 意識があってはじめてメディアや予算の割り振りが効果的にできると思うんですよ。(P.117)

○東京インタラクティブ・アド・アワード(P.130)

○「FFFFOUND!」(P.139)

○商品や企業との関係における受け手の気持ちや共感点のことです。
 しかも言語化できていなくて、意識の表面にはないもの。
 それを顕在化して訴えかけるから、受け手は共感してくれるんです。(P.143)

○「2005年に話題になったソニー「ブラビア」のCM「Bouncy Balls](P.146)
 25万個の色とりどりのスーパーボールが坂道を跳ねていく様子を撮影したものですが、
 だれだってふだんからスーパーボールが跳ねるときの心地よさは知っているはずです。
 ~中略~
 「そう、そう、それなんだよ」という部分、
 あるいは、そのことを訴えかけられたときに思わず膝を打つようなものといってもいいかも
 しれないのだけれど、そういうものを自分の”経験記憶”を参考にしながら 、
 受け手になりきってじっくり探していくんです。(P.147)

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