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その数学が戦略を決める イアン・エアーズ 文藝春秋

イアン・エアーズ
文藝春秋
発売日:2007-11-29

コンピュータが人類に代わり全ての決断を下す。
そんな漫画のような、映画のような話が現実になる。

こう書くと恐怖というか、畏怖というか、気持ち悪さを感じるが、
実際にコンピュータというのは、
過去のデータを分析して、未来の予測をすることが人間よりも得意だ。
そこ生かして利用する。
そうすることで医療の誤診は減り、飛行機も落ちなくなる。

今後ひとに求められるのは、
物事を見る切り口と、決断に対する責任を担うということかもしれない。

(以下○抜粋、●省略抜粋)
○ワインの質=12.145+0.00117×冬の降雨+0.0614×育成期間平均気温-0.00386収穫期降雨(P.10)

●「群衆の知恵」(P.36)
 場合によっては、
 集合的な予測はその集団の中の個人による最高の予測を上回る精度を発揮する。
 たとえば、びんに一円玉を詰めて、中にいくら入っているか一番近い予測をした人に
 100ドルの賞金を出すと大学生のクラスに言ってみよう。
 この場合の集団の知恵は、全員の予測値の平均を計算すれば求まる。
 →この群衆の知恵を使って表示されるリコメンド機能は、
  これまでにない精度で人に役に立つ情報を与える。

●ハラーズ(アメリカのカジノ)のにんじん戦略(P.46)
 ギャンブルデータ(リアルタイムでどのゲームをどれだけやって、どれだけの勝ち負けがあるか)、
 顧客の年齢、居住地の平均年収といったデータを組み合わせて、
 それぞれのギャンブラーがいくらまでならお金をすっても、
 それを楽しめてまたここに戻ってきてくれるかという、
 魔法の損失ポイント「痛みポイント」を設定している。
 
 この痛みポイントまでギャンブラーがお金を使った場合、
 たとえば、
 「本日はついていないようです。
  いつもご使用いただいておりますステーキハウスへご招待させていただきますので、
  奥様とお食事をなされていかがでしょうか。」
 と、負の印象から、正の印象へと切り替える。

○キャピタル・ワンに電話すると、すぐに録音で、カード番号を入力するようにいわれる。
 そして担当者の電話が鳴るより先に、コンピュータアルゴリズムが起動して、
 その講座とあなたについての何十という特徴を分析する。
 絶対計算のおかげで、あなたが質問するより先に答えがきたりする。(P.69)

●タグチメソッド(P.76)
 Monster.comは128種類あるウェブページの変種テストを実施しようとしたが、
 タグチメソッドを用いたオファマティカのソフトウェアで、
 たった8種のテストだけで全ての動向を確認できる。

 オファマティカのソフトウェアは無作為化を自動化するだけでなく、
 インターネットからの反応分析も自動的にやってくれる。

●イザベル(P.135)
 医療診断支援ソフト:医者は患者の症状を入力し、診断もれがないか確認する。
 ・診断結果として検討していなかった大きな別の診断を指摘したケースが10%程度ある。
 ・患者の病歴を入力にペーストすると、10から30の診断一覧を生成する。
  生成した診断一覧が正しい診断を含んでいる可能性は75%。
  詳細な診断まで入力すればその値は96%にまであがる。

○ブリットは1999年に航空免許の勉強を始めたが、
 パイロットたちが各種機械による操縦支援をずっと容易に受け入れることに驚いた。
 ブリッとはこういった。
 「飛行機の先生に、どうしてこんな違いが生じるのか尋ねてみましたよ。
  すると先生はこう答えました。
  『簡単なことですよ、ジョセフ。
  パイロットと違って医者は飛行機と心中しませんから。』」(P.138)

○人間の心には、よく知られている各種の認知的な欠陥や偏りがあって、
 これが正確な予測能力を歪めてしまっているのだ。(P.153)

○絶対計算と経験知識をいっしょに組み合わせてみたらよいのでは?
 (中略)
 だがクリス・シュナイダーによれば問題は、
 絶対計算の支援をもってしても、
 人の予測は絶対計算のみの予測に劣るということなので。(P.159)

○人間の出番は残されているのか?
 一言でいえば、仮説立案だ。
 (中略)
 何が何を引き起こすかについての仮説を生み出すのにどうして必要なのだ。(P.169)

●「過剰フィッティング」(P.194)
 過去のデータを完全に再現できるようになったからといって、
 将来の結果が上手に予測できるとは限らない。
 むしろ過去の結果を無理に再現しようとして恣意的な重み付けをたくせん入れてしまうと、
 ニューラルネットワークはかえって将来の予測がヘタになることが多い。

●ダイレクト・インストラクション(P.216)
 学習水準がだいたい似たような生徒を、
 かなり小さい5人から10人の集団に分け、
 先生から生徒に対し質問し、
 テンポよく生徒が全員が一斉に次々に回答していくもの。

 試験が終わってみると、DIの生徒たちは読み、書き、算数、言語ですべて一位になった。
 また高次の思考力を要求される問題にも楽々と答えた。
 たとえばDI学童たちは、知らない言葉の意味を文脈から類推する能力でも高い成績をあげた。

○絶対計算の世界では、売り手の販促は絶対にランダムではない。
 アマゾンから勝手にすてきな文鎮を送ってきたら、真っ先にこうおもうべきなのだ。
 「しまった、本を高値で買いすぎていたのか!」(P.234)

○大工の鉄則は「二回はかり直せ、木材を切れるのは一回だけだから」(P.252)

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