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悩む力 姜尚中 集英社新書

姜 尚中
集英社
発売日:2008-05-16

自分は何をするために生まれてきたのか?
自分のやっていることは本当に正しいことなのだろうか?

自分自身のことを判断するための指標は数多にあるが、
選択することは難しい。
人に属することなくて生きていきたいが、
一人で生きていくことは難しい。

一見して答えが出ないことに対して考えて探す。
それが「悩む力」。

(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○その背景には、近代科学や合理主義の急速な進展があります。
 それ以前は「自我」という概念が存在しても、
 人と人とは、宗教、伝統や習慣、文化、地縁的血液的結合などによって
 自動的に社会の中でしっかりと結びあわされていました。
 ところが、科学と合理的思考によって、
 それらは「ナンセンス」として次々に剥ぎとられていったのです。(P.31)

●焼け野原から戦後という新しい時代を創った世代と、
 その後の経済成長の中で生まれ育った世代とでは、
 その意識(世の中への諦め)に相当の開きがあります。

 時代をゼロから創った世代は満足感があり、
 社会の多少の矛盾にはさほど疑問を感じません。
 
 しかし、すでにできあがってしまっている時代の中で生まれた者には、
 そのような充実感はありません。
 むしろ、世の中の矛盾ばかり目に付つき、不満を感じます。
 そして、「頑張ってもも何も変わらないさ」的に、
 どこか虚無的になりがちです。(P.52)

○「みんな金が欲しいのだ。そうして金より外には何にも欲しくないのだ」(P.60)

●結局は漱石たちと同じように、できる範囲でお金を稼ぎ、できる範囲でお金を使い、
 心を失わないためのモラルを探りつつ、資本の理論の上を滑っていくしかない。
 
 時の流れのなかですべての価値は「変化」しますが、
 「お金」だけは、「不変」の価値を持った一種の記号として、
 存在し続けることは間違いありません。
 
 侮りがたきはお金です。(P.62)

○男は心細くもあり、
 またこのまま船に乗せられているのも意味がない気がして死のうと決め、
 海に飛びこむことにします。
 しかし、足が甲板を離れた瞬間、「よせばよかった」と思います。
 高い甲板から海面に達するまではスローモーションのようにかなりの時間があって、
 その間、男はどこへ行くかわからない船でも
 やっぱり乗っているほうがよかったと思います。
 そして、「無限の後悔と恐怖とを抱いて
 黒い波の方へ静かに落ちて行」くのです。(P.73)

○自分の世界を広げるのではなく、適度な形で限定していく。
 その場合でも、世界を閉じるのはなく、
 開きつつ、自分の身の丈に合わせてサイズを限定していく。(P.80)

○みなが先へ進んでいくのを横目に見ながら、
 立ち往生したまま動けない人もいます。
 つまり、春とはいうのはある意味で残酷な季節であるとも言えます。(P.84)

●ウェーバーも漱石も神経を失調しがちでしたが、それもうなずける気がします。
 
 自分を信じるしかない、
 「一人一宗教」的に自分の知性を信じるしかないと思っています。
 
 自分でこれだと確信できるものが得られるまで悩みつづける。
 あるいはそれしか方法はないと信じる。
 
 「信じる者は救われる」というのは、
 究極的には、そういう意味なのではないでしょうか。(P.109)

○形のないサービスであるだけに、
 良いのか悪いのか、良い場合はどのくらい良いのか、
 悪い場合にはどのくらい悪いのかといった判定がしにくいのです。
 頑張っても正当に評価されなければ、
 人はやはり無力感にさいなまれるでしょう。(P.126)

○先生はお金に困っているわけでもなく、
 厭世的ではあるけれども、ひこもっているわけではありません。
 その点では、何不自由なく生きています。
 その先生に死を考えさせてしまうのは、やはり自我の孤独なのです。

●漱石は「子規は天才だが、自分は天才ではなく秀才だ。
 だから努力しなければならない。」と思っていたのです。
 (中略)
 だからこそ頑張って、
 いつか自分も突き抜けてみたいと思っていたのではないでしょうか。(P.176)

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